あなたのお住まいのマンションの外壁、タイルではないですか?
マンションを購入される際に、高級感やメンテナンスフリーに憧れてタイル物件を選ぶ人が多くありません。高級感についてはその通りで、外壁塗装仕上げのマンションよりも高級感が楽しめます。
確かに表面的にはメンテナンスフリーかもしれません。しかし、メンテナンスフリーの部分については疑問が残ります。問題はタイルの裏側で起こっているのです。
今回はこの様なお悩みについて解決していきます。
- 本当にタイル仕上げのマンションはメンテナンスフリーなの?
- タイル仕上げで問題が起こる事はないの?
ここで少し、私の紹介をさせてください。
どんぐり所長
- 国家資格 1級建築施工管理技士
- マンション大規模修繕工事 現場所長
- マンションに携わり18年
- 経済的自由を目指し、節約・副業・投資を実践
- 副業として4つのブログサイトを運営
- X(旧twitter) フォロワー7,700人
この記事では、タイル仕上げのマンションで実際にあった事例を元に解説していきますので、是非最後まで読んでいってくださいね。
タイル仕上げがメンテナンスフリーはウソ
タイルも劣化します。
タイルで仕上げられたマンションは数年たってもはほぼ綺麗なまま。掃除をすれば綺麗になります。これがタイル物件が「メンテナンスフリー」と言われる要因です。
しかし、タイルの劣化はその裏側で起こっています。タイルの劣化は、目地であったり下地で起こっています。タイルの裏側に水が入ったり、建物の揺れなどの要因が重なり、タイルは徐々に剥がれていきます。
国の基準はありませんが、年に0.25%未満程度の浮きは普通であり、瑕疵案件に当たらないとされています。
簡単に言いますと…
タイルは経年で段々浮いていくのが普通ということです。
これを聞いてあなたは怖くなりませんか?でも大丈夫。この程度の浮きならばすぐに落下したりする事はありません。
問題はこの経年による浮きが多すぎる場合にあります。
工事が始まってから「それ」は見つかる
新築から12年目に大規模修繕工事が始まり、タイルの大規模な浮きが発覚した。タイル浮きは3~4%で想定されていたが、打診調査の結果タイル全面積の10%を超える浮きが発覚した。
すぐさま監理者、管理組合に報告し、瑕疵案件として施工会社に連絡することにした。
瑕疵対応して貰えると考え、タイル補修工事を止めて答えを待つが、返ってきた答えはこういう内容であった。
「10年の保証期間が終了していますので対応致しかねます。」
「そもそもタイルは経年で浮きが発生するものです。」
タイルの保証期間を考える
新築から12年経ち、初めての大規模修繕工事。建物の廻りに足場を組立て、建物全体を調査する。そこで発覚した瑕疵案件は対応しないというのです。
瑕疵保険とは
日本の建築物の瑕疵保険は、建築物の構造や設備に欠陥があった場合に、修繕費用や補償金を支払う保険制度です。具体的には、建築物の構造部分において、耐震性や耐火性、防水性、断熱性などに問題があった場合に発生する欠陥を保険対象としています。
瑕疵保険は、建築物が完成した後の一定期間(一般的には10年間)に適用され、建築業者が建築工事を行った際に、必ず加入することが法律で定められています。建築業者は、瑕疵保険を加入することで、建築物に欠陥が生じた場合でも、修繕費用を負担することなく、補償金を受け取ることができます。
瑕疵保険の保険金額は、建築物の構造や設備の欠陥に応じて異なりますが、一般的には建物価格の数パーセント程度が目安とされています。また、瑕疵保険の保険期間中には、定期的に点検を行うことが求められており、欠陥を発見した場合には、速やかに修繕することが求められています。
瑕疵保険は、建築業者が建築工事を行う際には必ず加入しなければならない法律で規定された保険制度であり、建築物の品質を保証するための重要な仕組みとなっています。
保証期間が10年で、1回目の大規模修繕が概ね12年周期。
まるで作られたストーリーのように感じませんか?
実はこのような事例は結構多く、裁判で賠償命令がでた例も多くあります。あまりに問題が多くなっているので法律面でもタイル浮きの瑕疵案件については厳しくなりました。
しかし、裁判で勝ったとしても裁判中はタイル補修ができませんし、大規模修繕工事は止まってしまうかまたは、タイル補修工事を残して竣工します。その場合、裁判で疲弊した状態からさらに建物の廻りに足場を立てタイル補修が始まります。やっと大規模修繕工事が終わったのにまた足場に囲まれて。住まわれている居住者様のストレスかなりのものと想像します。
タイル浮きで問題になる前でにできる事
保証期間が切れる前に必ず打診検査などを実施する事をおすすめします!
保証期間が終わる前に低層階だけでも打診調査をすることをお薦めします。各お部屋に入らせて頂いてバルコニーから調査するのもいいですね。民間の調査会社に依頼するのもよいです。また、大規模修繕工事の設計会社に頼み、早めに調査するのも良いです。
新築時の販売会社や施工会社に依頼するのは避けたほうがよいでしょう。悪い結果がでても、正直に報告をしてこなかったり、程度のよい言い訳をしてくる場合が多いです。
早めの調査を行うことでタイルの状況が確認できます。1回目の大規模修繕工事の際の明細数量の参考になりますし、現状の実態を把握できます。タイル浮きが発生していれば施工会社に対して瑕疵対応を求める事もできます。
逆に全くなければ安心して暮らしていくことができますしね!
そもそもタイルは浮くものと覚えておく
「そもそもタイルは浮くもの」この言葉は正解であり、間違いでもあります。
何時かは浮くとしてもそれが1年後なのか30年後なのかで全く違います。なぜこのような差が生まれるのか。それはほぼ施工時状況や施工方法によります。
上手に建てられたタイル物件はほぼメンテナンスフリー。幾ばくかのタイルを補修して、シーリングを打ち直して、高圧水洗などで美装すれば綺麗なものです。
でもある物件は、その物件のタイル補修費用の5倍かかる。タイル貼りの状況や施工方法でここまで変わってしまうのです。
タイル貼りのマンションはギャンブルに近いとも言えます。
タイルのマンションはダメなのか
タイルのマンションはダメなのか─これも一概には言えません。きっちりとした施工会社で建てられた物件は本当に資産価値が高いです。ただし、施工会社が誰でも知っているような大手でも注意は必要です。情報はできるだけ集める様にしましょう。
- タイルはそもそも浮くもの
- はじめての大規模修繕工事の時にきづいても遅い
- タイルの状況は新築の施工会社によって全然違う
タイルの状況をよく調べてからの購入をお薦め致します。購入目的によっても判断基準は変わってきます。売却益や賃貸収入などの投資目的で購入される方はそれほど気にする事なくタイル物件を購入する事ができるかもしれません。
購入した物件にご自分で住まわれる方は、問題がおこると修繕積立金の増額や、大規模修繕工事以外での足場の仮設などの可能性がありますので、ご注意が必要です。
では、またっ!
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