外装がタイル貼りのマンション。
見た目も高級感あって対抗性にも優れる。
その分少し施工費お高めですが…やはりタイルでしょう?
そういってタイル物件を薦められるがままに契約した方も多いはず。
でも本当にそうなのでしょうか?
タイルだとメンテナンスいらないからお金かからないよねー!
この記事ではこのようなお悩みを解決していきます。
- タイルはメンテナンスフリーというのは本当?
- タイルは汚れない?
- タイルはお金掛からない?
ここで少し、私の紹介をさせてください。
どんぐり所長
- 国家資格 1級建築施工管理技士
- マンション大規模修繕工事 現場所長
- マンションに携わり18年
- 経済的自由を目指し、節約・副業・投資を実践
- 副業として4つのブログサイトを運営
- X(旧twitter) フォロワー7,700人
マンション大規模修繕工事に15年以上携わってきている私が、実際に補修した経験からタイルの現状について解説していきますので最後まで読んで行ってくださいね。
【結論】タイルなら大丈夫と購入すると後で困る事も
新築や中古のマンションの購入を検討された際、外壁がほとんどタイルで覆われているマンションを見てどういう印象をお持ちになられたでしょうか。
高級感があって、お洒落で、なにより塗装みたいに劣化しないからコスパも満点よね!
そんな風に思われた方も少なくないと思います。
高級感があって、お洒落で~この部分は否定致しません。資産価値を上げる上でもタイルは効果を発揮しています。
私がここでお話ししたいのは、「タイルは劣化しない」、この部分について安易にそうは言えないと考えています。
外壁が塗装仕上げの場合、塗装は年々劣化していきます。10年もたてば白っぽくなったり、粉を吹いてきますので目に見えてよく分かると思います。
その点、タイルは10年経ってもタイル自体はとても綺麗です。見た目だけなら高圧水洗などで洗うだけでもとても綺麗になります。
タイルは劣化部が見えてないだけなんです。問題はタイルの目地とタイルの裏。
タイルはコンクリートの建物に貼付けモルタルで張り付けられています。
そして、タイルの裏の貼付け状況が劣化し年々タイル浮きが広がっていきます。
これは、新築時の施工状況に大きく影響を受けます。
- タイルも汚れる
- タイルは裏の貼りモルタルや下地が劣化する
タイル浮きが起こるメカニズム
タイル貼りにとっての天敵は水です。
タイル目地の隙間や打継シールの劣化部、こういうところから水は侵入し、タイルの裏側へ広がっていきます。
入った水は必ず出口を探していきます。水の通り道を探して、どんどん新しい道を作っていきます。
また、冬は凍ります。これがまた厄介で、水は凍る際に大きく膨らみます。夜に凍って、昼にとけて。
寒い日が連続する場合、毎日毎日タイル裏の空隙が広がっていきます。
これが長年続くと最後には…という訳です。
水が入らないような施工が必要ということです!
- タイルの天敵は水
- タイル裏に水が回ると高確率で浮きが発生する
施工の問題点
前述したとおり、タイルは非常に見た目が綺麗です。
問題は、悪いところが見えづらいということなのです。
タイルの裏の躯体が大きく割れてきてたとしても、しばらく気づかないかもしれません。
皆様が購入を希望して、現地でマンションを見上げた時にこの不具合に気づくでしょうか。ほぼ気づく事はないと思います。
問題は施工時に起こっていますが購入者は施工状況を見ることができないのです。
施工による不具合は存在します。いくつか例をあげます。
参考動画:コニシ
躯体が鏡面のように綺麗
建物を建てていく際、コンクリートを打設していきます。
コンクリートの型枠は鏡面仕上げのほぼ新品の物を使用します!
素晴らしいですね。ただ、想像してみてください。
ガラスのようなツルツルの面に、セメントモルタルを張り付けて密着するでしょうか。
大規模修繕工事の際に大きなタイル浮が発覚した物件の多くはこの事象にあてはまります。
地震などが起こると浮きが大量発生するのはこのあたりに原因があります。
タイル貼りの場合、躯体の面にはある程度の目荒らしは必要なのです。
建物は動いている
実は建物は必ず動いています。
エキスパンションジョイントを設けて建物の動いているのを逃がしている構造になっているのは建物が動いている前提で作られているからです。
問題はタワー型のように細くて高い建物で、高層になればなるほど建物の運動量は増えます。
20階前後のタワー型マンションで最上階まで現場貼りのタイルの建物でタイルの大規模な浮が発覚し1回目の大規模修繕工事を待たずして、足場を架けタイル全点検および補修を行うという案件もありました。
これは施工会社、販売会社が迅速に動いておりますのでよかったのですが、そもそも、揺れの大きいタワー型のマンションでしかも、先ほどのような鏡面にタイルを貼っていたとしたらタイルの剥落が起こる事が容易に想像できると思います。
タワー型でタイルというのはそもそも危険性をはらんでいます。
タイル裏への浸水
- タイル目地の目地モルタルがしっかり入っておらず浸水する。
- 打継目地のシールの打設状況が悪い。
- 打継目地のシール選定を間違っている。
上記三点は実際に遭遇いたしました。
タイル目地においては比較的よくある事象ですが、タイル目地からの浸水は多くはタイルと貼付けタイルの隙間に水がはいるので、そこまで大きな問題になる事はありません。
問題は打継シールの施工不良で、この場合、貼付けモルタルと躯体の間に水がはいりますので、廻りのタイルも追随して剥落するタイル浮に進展します。
シールの施工に関してはしっかりと打設を行っていくことで防ぎますが、シールの選定ミスは言語道断です。
私が遭遇した事案では、タイル目地にウレタン系のシーリング材が使用されていました。
なにが問題かと申しますと、ウレタン系シーリング材というのは、可視光線に非常に弱いので、他の塗料などでコーティングする事でシーリング材の劣化を防ぐのです。
勘の良い方はお気づきだと思います。タイルータイル間のシールは塗装しないのです。
私が発見したとき、シーリング材はスルメイカのようになっていました。
貼付けタイルの防水の要であるシーリング材がそのような状態では守れるはずもありません。
大規模なタイル浮が発生していました。
私的には十分な瑕疵案件であり、管理組合様に相談もいたしましたが、そんなに簡単な話ではないのは次回以降でお話し致します。
新築時のタイルが悪いとどうなるのか
基本的にマンションを購入された後のタイル浮きは、12年程度毎に行われている大規模修繕工事にて補修していきます。
その際に、タイル浮が多ければ多いほど修繕費用が大きくなるのは想像に難くないと思います。
そしてその費用を支払うのは管理組合、ひいてはあなたの修繕積立金からとなるのです。
新築施工業者の施工が悪かったのに、修繕費をあなたが支払う事になるかもしれません。
ですので、しっかりと新築施工業者は選ぶ必要があると思います。
あまりにタイル浮が多い場合は、瑕疵を巡って管理組合と新築施工業者で裁判に発展する場合もあります。
外装が塗装のマンションはこういう問題にはなりにくいので、タイル物件はやめておくのも考え方です。
タイル浮きをみつけよう
ではタイル浮きをみつけるにはどうしたらよいでしょうか。
実は「音」で発見する事ができます。
金属の棒の様な物でガラガラとタイル上を転がすと、音が低くなる箇所があります。
それがタイル浮きです。
厳密に言うとタイルの裏の「貼り付けモルタル」と躯体に隙間ができている状態です。
参考動画がこちら
全然違うでしょう?
また、陶片浮きといって、タイルと貼り付けモルタルが剥離してしまう場合もあります。
この場合は貼り付けモルタル浮きと違い、「キンキン」と高い音が鳴ります。
【まとめ】タイル物件も注意が必要です
- タイルも汚れる…定期的にタイル洗浄が必要…費用が掛かる
- タイルは裏の貼りモルタルや下地が劣化する…貼り替えが必要…費用が掛かる
- タイルだからその後まったく費用がかからないという訳ではない
- 新築時の施工が悪ければ、塗装の建物よりも費用が掛かる場合も
タイルの注意点を解説してきました。
いかがでしたでしょうか。
「タイルだから大丈夫」と考えずに、しっかりした施工が行われているか、信用のおける施工業者が施工しているか。
確認してからマンション購入契約をしても遅くないと思います。
では、またっ!
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